グンバイトンボは、モノサシトンボ科のトンボで大きさ約30mm。主に丘陵地から低山地の湧水が流れ込む緩やかな清流域に生息している。大きな特徴は、オスの中・後脚の頸節が白色で軍配状に広がる特異な形をしていることであり、名前の由来にもなっている。
グンバイトンボは、井の頭池で採集された標本が基で新種となったように、かつて、東京都の井の頭公園や石神井公園にも生息していた。しかしながら、環境の悪化とともに姿を消し、その後、多摩川水系の一ヶ所で確認されたのを最後に、東京都では絶滅してしまっている。西日本では数多く見られる地域もあるが、全国的に産地はかなり局地的で、環境省RDBの絶滅危惧Ⅱ類にリストされている。
昨年、グンバイトンボを撮るために栃木県を三度訪れたが、見つけることができなかった。それならばと、1年待っての再挑戦。片道340kmを走り、確実な生息地である岐阜県に向かった。午前3時半に自宅を出発し、8時半到着。駐車場に車を止めて、カメラをセットしていると、すぐ側を流れる小川にカメラを持った方が・・・声をかけると、オニヤンマの羽化シーンを撮っているとの事。グンバイトンボを撮りたいと告げると、この草むらにいると指す。何と、到着後5分も経たずに目的を達成してしまった。
小川は、東京におけるホタルの生息地と同様な物理的環境であるが、あちこちから湧水が流れ込んでいて、清列そのものである。その川岸の草むらにグンバイトンボは潜んでいた。モノサシトンボよりも少し小さく、脚の白い軍配がよく目立つ。時間が経つにつれて、何頭も飛びだしてきた。この貴重なトンボに出会えたことに感謝したい。これで、沖縄を除く日本に生息するモノサシトンボ科(モノサシトンボ属2種とグンバイトンボ属2種)すべてを写したことになる。写真は、EOS 5D Mark2 に TAMRONの90mmマクロを付けて撮影。マクロ撮影で愛用する EOS 7D と比べると、やはり高画質である。
その後、ハッチョウトンボを撮影しながら周囲を1時間ほど散策し、10時に次の目的地である山梨県へ向けて出発した。

グンバイトンボ
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/80秒 ISO 200 -1/3EV(撮影地:岐阜県 2012.06.23)

グンバイトンボ
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/80秒 ISO 320(撮影地:岐阜県 2012.06.23)

グンバイトンボ
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F9.0 1/100秒 ISO 1000(撮影地:岐阜県 2012.06.23)

グンバイトンボ(メス)
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F5.6 1/80秒 ISO 250(撮影地:岐阜県 2012.06.23)
