千葉県鴨川市を訪れたのは、環境省RDBカテゴリで絶滅危惧ⅠB類に選定されているシルビアシジミの春型を撮影するためである。できれば翅表も撮りたい。そのためには、吸蜜活動に入る前の朝日で体を温める早朝しかチャンスがない。6時半から、昨年10月に見つけた生息地で探索開始である。
水田脇の草地でまず見つけたのは、ベニシジミ。あちこちで翅を開いている。次はヤマトシジミ(春型)。ヤマトシジミとシルビアシジミは、飛んでいる時には区別がつかないので、止まっている時に翅裏の模様で判別するしかない。次第にそれらしいチョウの数が増え、1頭1頭追いかけて翅裏を見て周るが、すべてヤマトシジミでシルビアシジミは見つからない。探索を開始してから1時間後、草地を出て農道を歩いていると、小さな青いチョウがチラチラと飛んでいる。後を追いかけ止まったところで翅裏を確認するとシルビアシジミであった。
シルビアシジミは、千葉県のRDBにおいては絶滅危惧Ⅰ類および重要保護生物(B)に選定されており、生息地は局所的で、特に春型は個体数が極めて少ないと言われている。千葉県鴨川市の本生息地では、食草がミヤコグサではなくシロツメグサであり、また春季刈り払いの畦畔と毎月刈り払いの畦畔が共存する環境によりシルビアシジミの安定的な生息につながっていると考えられるが、この日に確認できたのは、翅の擦れたオス1頭のみであり、昨年秋に続き、今回も綺麗な翅表の撮影は叶わなかった、既に時期が遅かったのかも知れない。この場における発生サイクルや生態を細かく調べる必要があろう。次回は秋型の最盛期である9月に再訪しようと思う。
シルビアシジミは、小さく地味なチョウであるが、その希少価値の高さゆえに昆虫写真家や採集家、収集家に人気がある。シルビアシジミの減少は、環境の悪化と破壊が主な原因であるが、1人が捕れるだけ捕るという昆虫網を持った輩からは、守らねばならないチョウである。

シルビアシジミ(春型)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:千葉県鴨川市 2014.4.27 8:09)

シルビアシジミ(春型)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:千葉県鴨川市 2014.4.27 8:12)

シルビアシジミ 開翅(春型)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:千葉県鴨川市 2014.4.27 8:10)

シルビアシジミ 開翅(春型)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 200(撮影地:千葉県鴨川市 2014.4.27 8:10)