メスアカミドリシジミは、昨年、山梨県甲州市で初撮影し、「メスアカミドリシジミ」として掲載してるが、それは、メスアカミドリシジミ属(Chrysozephyrus属)らしい金属光沢をもった鮮やかな金緑色の翅表は撮れたものの、画質的には不満が残る結果であった。そこで今年は、高画質の写真を撮るべく、発生時期が甲州市よりも早い東京都の檜原村を訪れた。
この渓流では、およそ2Kmに亘るあちこちで、オスがテリトリーを見張る占有行動や卍飛翔が見られる。メスアカミドリシジミの行動を細かく観察しながら、撮影に適した場所を探すと、手の届く距離で、しかも目線の高さ、もしくはそれよりも若干低い位置に止まるポイントを見つけた。他の場所は距離があって、撮影後にトリミングしなければ絵にならないので、この場所で粘ることにした。
4時間かけて撮影したが、唯一の問題は私とチョウと太陽の位置関係。トップライトではあるが、チョウを挟んで私の反対側に太陽があることにより、メスアカミドリシジミの特徴的な翅表の色が、十分に写せなかった。金属光沢のある金緑色というよりも、金属光沢のある青緑色でジョウザンミドリシジミ(Favonius属)に近い色合いに見えるが、メスアカミドリシジミの魅力は十分に引き出せたのではないだろうか。ちなみに、掲載したメスアカミドリシジミは、すべて同個体である。
たいへん残念だったことは、網を持った輩3名の行為だ。長竿の捕虫網が届く範囲にいるメスアカミドリシジミを片っ端から捕まえては、胸をつぶしてパラフィン紙へ。少なくとも、それぞれが30頭以上を殺したと思われる。翅表の傷ついていない綺麗な個体だけが標本箱に並ぶが、後は捨てられる。彼らの行為は、メスアカミドリシジミの「駆除」に等しい。自分の行為だけなら絶滅はしない?今日は3人。もし、毎日違う輩が来たらどうなるだろう。
一人が私の撮影しているポイントにも来たので、思わず怒鳴ってしまった。「ここのは、捕らせないぞ!!」彼らに、モラルはない。自然保護の意識もない。しかし、何ら法的規制もない場所では、彼らは犯罪者ではない。もはや私情で怒鳴るしかないのだ。どうか、標本箱に並ぶ標本と私の撮ったメスアカミドリシジミの写真とを見比べて欲しい。どちらが美しいか。

メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/1000秒 ISO 2500 -1 2/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.6.14)

メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 1600 -2 1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.6.14)

メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200 -1 1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.6.14)

メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 1000 -2 1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.6.14)

メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/1000秒 ISO 1250 -2 1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.6.14)

メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/1000秒 ISO 2000 -2 1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.6.14)

メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/1000秒 ISO 2500 -2 1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.6.14)

メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200 -2 1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.6.14)
14日(土)は、午前3時に自宅を出発し、まずは山梨県北杜市へ。未撮影のチョウを探したが見つからず、東京都檜原村へ移動。午前10時から午後16時までメスアカミドリシジミ等を撮影。もう1種類のチョウを撮りたかったが、日本テレビの情報番組「news every.」のホタル取材があったため、あきる野市へ移動し、21時頃まで撮影協力。
その後、自宅へは戻らずに、そのまま山梨県河口湖町へ移動。車内で仮眠し、早朝から未撮影のチョウを探したが、北杜市同様に見つからず、15日(日)の午前9時に帰宅。
撮影した250カットのRAWデータを整理し、現像した後、13時半に自宅を出発。再び檜原村へ向かい、前日に撮れなかったチョウを撮影して、18時に無事に帰宅。
先週は、土日ともに雨だったので、この貴重な梅雨の晴れ間二日間を最大限に使いたかった。目標達成率は75%であったが、予定外の初撮影もできたので、充実した休日であった。