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Channel: ホタルの独り言
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ベニヒカゲ

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 ベニヒカゲは、 タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科ベニヒカゲ属で、氷河期から残存する日本固有のチョウである。
 ジャノメチョウの仲間は、地味で翅色が全体的に黒褐色や茶色であるものが多いが、ベニヒカゲとクモマベニヒカゲには前翅の両面と後翅表面に眼状紋を囲む黄色やオレンジ色の斑がある。メスは、翅表の眼状紋内に白点があり、また後翅裏面に白ないし黄色の帯が現れるのが大きな特徴だ。

 ベニヒカゲは、 北海道および本州の東北地方から中部の日本アルプス地方を経て加賀白山にかける亜高山帯から高山帯に分布する高山蝶で、北海道にはベニヒカゲ北海道亜種(Erebia neriene scoparia Butler, 1882)、本州にはベニヒカゲ本州亜種(Erebia neriene niphonica Janson, 1877)が生息している。
 登山者が多い地域では、食草であるイネ科のイワノガリヤスやカヤツリグサ科のヒメカンスゲが踏み荒らしによって消失したり、成虫の生活域の縮小が原因で減少しており、また、マニアによる乱獲もあり、ベニヒカゲ本州亜種は、環境省RDBにおいて準絶滅危惧(NT)に選定されている。昭和50年2月には長野県の天然記念物に指定され、長野県と群馬県では採集が禁止されている。

 およそ一ヶ月ぶりの遠征。長野県東御市の池の平湿原を訪れた。池の平湿原は、2014年7月にミヤマモンキチョウ を撮影して以来だが、今回の目標は、「ベニヒカゲ」である。
 午前5時に自宅を出発し、7時半に現地の駐車場着。気温13℃、晴れ。歩き出すと、早速、ベニヒカゲが出迎えてくれた。湿原まで降りると、何十頭ものベニヒカゲがヒラヒラと舞い、マツムシソウやアザミで吸蜜している。湿原ゆえに木道以外には立ち入ることができないのが生息環境保全には良いのだろう。
 池の平湿原では、最盛期は過ぎたようで、ほとんどはメスであった。また、ベニヒカゲ以外は全く見られず、ハイカーもゼロ。じっくりと観察してみると、後翅の橙色斑に個体差があることに気が付いた。
 ベニヒカゲは個体変異・地域変異が著しく、橙色斑の大きさや黒色紋の大きさなどが異なると言われている。ある地域では、前翅の橙色斑の中の黒紋が無い個体も出現するらしいから、これら変異を追いかけるのも学術的に有意義である。(これがマニアの乱獲にもつながっている)
 ベニヒカゲは、初見初撮影の種で、当ブログのリスト「鱗翅目」で130種類目である。来年は、更に高山に生息するクモマベニヒカゲを撮ろうと思う。

 今年の昆虫撮影は、なかなか思うようにいかず、あっという間に9月になってしまった。ブログの記事数も寂しくなってきたが、計画をたてて目標にした種だけを撮影しているので仕方がない。そろそろ自然風景写真に移行しつつ、本年計画した残り数種類の昆虫を追いかけたい。

IMG_3715.jpg

ベニヒカゲ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 800(撮影地:長野県東御市 2015.9.5)

IMG_3716.jpg

ベニヒカゲ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 320 +1EV(撮影地:長野県東御市 2015.9.5)

IMG_3717.jpg

ベニヒカゲ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 500 +1/3EV(撮影地:長野県東御市 2015.9.5)

IMG_3718.jpg

ベニヒカゲ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 500 +1EV(撮影地:長野県東御市 2015.9.5)

IMG_3719.jpg

ベニヒカゲ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 250(撮影地:長野県東御市 2015.9.5)


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