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Channel: ホタルの独り言
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キリシマミドリシジミ

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 今年、最後のゼフィルスを求めて、静岡県の愛鷹山へ向かった。目標は、キリシマミドリシジミである。キリシマミドリシジミ(Thermozephyrus ataxus)は、神奈川県や静岡県などの東海地方、近畿地方では鈴鹿山脈、 四国・九州・屋久島に生息する暖帯・山地性ゼフィルスの一種である。他のゼフィルスと異なり、7月中旬から8月上旬に発生し、食樹であるアカガシの梢を飛びまわる。
 キリシマミドリシジミの活動時刻は午前9時頃からと聞いていたが、天気がよく気温が高ければ時間が早まると思い、午前6時に現地入り。カメラをセットし、アカガシを見上げる。しばらくすると、遥か上方でキラキラと輝く姿。まぎれもなく、キリシマミドリシジミである。 30分に1回くらいの割合で姿を見せるが、すぐに梢の中に消えてしまう。結局、数頭が飛びまわり始めたのは、午前9時頃からであった。

 高さ10mもあるアカガシの大木の高い梢を非常に高速で飛びまわる。日の光に翅裏の白と翅表の金緑色が輝く。まるで飛ぶ宝石である。渓谷を挟んだ対岸の小高い場所に三脚を据えて狙うが、アカガシまでの距離は8~10m。時折り、葉の先に止まるが、300mmレンズでは小さくしか写らない。トリミングなしが下の写真である。中央にキリシマミドリシジミが写っている。

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キリシマミドリシジミ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F11 1/400秒 ISO 3200 ストロボ使用(撮影地:静岡県駿東郡 2012.08.05)

 以下の写真は、300mmで撮影したものをトリミングしたもの。安価なレンズで撮った画像の一部分を拡大してあるので、証拠程度の写真になってしまった。解像度の高い500mm超の望遠レンズであれば、もう少し、綺麗に撮れるかもしれない。撮影難易度の非常に高いこのキリシマミドリシジミにどう立ち向かうか。来年の課題である。

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キリシマミドリシジミ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F16 1/400秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:静岡県駿東郡 2012.08.05)

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キリシマミドリシジミ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F11 1/500秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:静岡県駿東郡 2012.08.05)

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キリシマミドリシジミ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F11 1/200秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:静岡県駿東郡 2012.08.05)

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キリシマミドリシジミ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F11 1/320秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:静岡県駿東郡 2012.08.05)

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キリシマミドリシジミ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F11 1/320秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:静岡県駿東郡 2012.08.05)

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キリシマミドリシジミ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F11 1/250秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:静岡県駿東郡 2012.08.05)

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今年のゼフィルス

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 ゼフィルス(Zephyrus)は、ギリシャ神話の西風の神ゼピュロス(Zephyros)が語源となっている樹上性のシジミチョウの一群(ミドリシジミ族)の呼称で、その撮影が、今年の大きな目標の1つであった。天候と休日、発生時期のタイミングから、出会うことさえ叶わなかった種類や、撮影そのものの難易度の高さから証拠程度の写真しか撮れなかった種類もあるが、昨年と今年で、13種類のゼフィルスを写真に撮ることができた。ここで、ミドリシジミ族の分類と撮影した種類をまとめてみた。
 今後、これら全種類を撮影することは、課題も多く不可能であるかも知れないが、1種類でも多く、そして撮影済みの種類でも証拠程度のものは、綺麗な写真が撮れるよう来年以降も挑戦したい。

ミドリシジミ族(Theclini)

ウラキンシジミ属(Ussuriana)

  • ウラキンシジミ(Ussuriana stygiana)

ウラゴマダラシジミ属(Artopoetes)

チョウセンアカシジミ属(Coreana)

ムモンアカシジミ属(Shirozua)

  • ムモンアカシジミ(Shirozua jonasi)

オナガシジミ属(Araragi)

ミズイロオナガシジミ属(Antigius )

アカシジミ属(Japonica)

ウラミスジシジミ属(Wagimo)

  • ウラミスジシジミ(Wagimo signatis)

ウラクロシジミ属(Iratsume)

ミドリシジミ属(Neozephyrus)

メスアカミドリシジミ属(Chrysozephyrus)

  • ヒサマツミドリシジミ(Chrysozephyrus hisamatsusanus)
  • アイノミドリシジミ(Chrysozephyrus brillantinus brillantinus)
  • メスアカミドリシジミ(Chrisozephyrus smaragdinus smaragdinus)

キリシマミドリシジミ属(Thermozephyrus)

オオミドリシジミ属(Favonius Sibatani & Ito, 1942)

フジミドリシジミ属(Sibataniozephyrus Inomata, 1986)

  • フジミドリシジミ(Sibataniozephyrus fujisanus fujisanus)
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ミドリシジミ

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ジョウザンミドリシジミ

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ハヤシミドリシジミ

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キリシマミドリシジミ

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ウラゴマダラシジミ

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ミズイロオナガシジミ

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オナガシジミ

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ウスイロオナガシジミ

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アカシジミ

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ウラナミアカシジミ

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チョウセンアカシジミ

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クロミドリシジミ

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ウラクロシジミ

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コシボソヤンマ

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 コシボソヤンマ(Boyeria maclachlani)は、丘陵地の樹林におおわれた薄暗い囲まれた砂礫底の細流に生息し、朝と夕方に活発に活動する黄昏ヤンマで、和名の由来となっている腹部第3節の「くびれ」が著しいことが本種の特徴である。体長は約75mm~90mmと大柄で、体色は黒褐色の地色に縞模様のような黄色斑紋がある。雄の複眼は青緑色で、成熟すると翅の先端に褐色斑紋が現われる。

 11日土曜日、前日の天気予報では朝から雨であったが、念のため午前4時に起きると星が見える。とりあえず出かけてみた。まずは、山梨県甲州市。今月の目標であるチョウを探しに行ってみた。峠近くまで車で行けるが、今日は、林道の途中に車を置いて、ゆっくりと歩いてみた。午前7時から往復5kmを探索したが、目当てのチョウは現れなかった。時期が少し早かったようだ。午前10時に引き上げ、中央道を戻る。高井戸ICで降り、環八、第三京浜、横浜横須賀道路で横浜市磯子区にある緑地へ向かう。午後1時半到着。探すのは、コシボソヤンマである。
 森の谷間を流れる源流。と言っても渓流ではない。水は清列だが、底質は粘土層で浅く、礫はほとんどない。また、川には木々が覆いかぶさり薄暗い環境である。コシボソヤンマは、黄昏飛翔型で、日中は木の枝にぶら下がって休んでいるから、周囲の木々を丹念に探す。500m程の間を何度も往復するが、見つからない。見つかるのは、野生の日本リスばかり。時刻は午後3時。あと1往復したら諦めて帰ろうと思いながら奥まで進み、川岸に座って落胆していると、目の前をヤンマが横切った。もしや・・・後を追いかけると、川の上の狭い範囲を行ったり来たり忙しなく飛んでいる。まさしくコシボソヤンマである。飛翔写真の撮影を試みたが、ちょこまか動くのでピントが合わない。 30分ほど格闘していると、コシボソヤンマも疲れたのか、近くの枝に止まった。チャンスである。何枚か撮影すると、頭上の遥か上の茂みに飛んで行ってしまった。

 今回のコシボソヤンマで、関東地方に生息するヤンマ科(13種類)すべてを撮影することができた。次の記事で「まとめ」てみようと思う。

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コシボソヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:神奈川県横浜市 2012.08.11)

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コシボソヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.3 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:神奈川県横浜市 2012.08.11)

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コシボソヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F4.5 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:神奈川県横浜市 2012.08.11)

IMG_2749.jpg

コシボソヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:神奈川県横浜市 2012.08.11)

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コシボソヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.5 1/250秒 ISO 2500(撮影地:神奈川県横浜市 2012.08.11)

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コシボソヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.5 1/250秒 ISO 2500(撮影地:神奈川県横浜市 2012.08.11)

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関東のヤンマ全13種

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 今年の目標であったネアカヨシヤンマとコシボソヤンマを撮影したことで、関東に生息するすべてのヤンマ科13種類が揃った。並べてみると、一番身近なギンヤンマが、おざなりな撮影であったことが分かる。まだまだ、図鑑写真に満たないヤンマもいる。今後は、当ブログに理念
1.まずは、特徴が分かる図鑑写真であること
2.次に、生態写真であること
3.そして、芸術的写真であること を念頭に撮っていきたい。

ヤンマ科

アオヤンマ属(Aeschnophlebia)

カトリヤンマ属(Gynacantha)

ギンヤンマ属(Anax)

コシボソヤンマ属(Boyeria)

サラサヤンマ属(Sarasaechna)

トビイロヤンマ属(Anaciaeschna)

ミルンヤンマ属(Planaeschna)

ルリボシヤンマ属(Aeshna)

ヤブヤンマ属(Polycanthagyna)

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アオヤンマ

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ネアカヨシヤンマ

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カトリヤンマ

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ギンヤンマ

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クロスジギンヤンマ

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コシボソヤンマ

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サラサヤンマ

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マルタンヤンマ

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ミルンヤンマ

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ルリボシヤンマ

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オオルリボシヤンマ

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マダラヤンマ

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ヤブヤンマ

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残暑見舞い

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 暑さ厳しき折、皆様のますますのご健勝とご自愛をお祈り申し上げます。

 さて、世間はお盆ムードで電車も空いているが、私は、お盆休みもなくカレンダー通りに出勤。毎年のことだが、たまには交代でもいいから休んでみたい・・・と言っても、8月は以外と昆虫の種類は少ないから、家でゴロゴロと無駄な時間を過ごしてしまうかも知れない。
 今後の予定を整理してみると、今月は、あと1種類のチョウを撮れば自身の目標をクリアだ。今週末は富士登山。月末は「日本ホタルの会」の理事会、来月の講演会の準備もしなければならない。あっという間に8月も終わりそうである。その後は次第に昆虫撮影が減り、紅葉や霧氷等の風景写真へと移行する。そして来年。既に2013年6月と7月のスケジュールは埋まっている状況だ。お盆休みではなく、6月と7月にまとめて休みが欲しいくらいである。

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積乱雲
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/2500秒 ISO 200(撮影地:千葉県 2012.08.04)

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朝の夏空
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F11 1/500秒 ISO 200(撮影地:静岡県 2012.08.05)

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クロシジミ

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 クロシジミ(Niphanda fusca)は、シジミチョウ科ヒメシジミ亜科に分類される。幼虫は、若齢のうちは、草上でアブラムシの分泌物をなめて育ち、大きくなるとクロオオアリによってその巣に運ばれ、アリに口移しでエサをもらって育てられるという。シジミチョウの仲間で特定のアリの巣で生活するものは、本種を含めて3種類、キマダラルリツバメ(ハリブトシリアゲアリ)とゴマシジミ(シワクシケアリ)が知られている。
 クロシジミは、本州から九州、対馬にかけて分布するが、生息地は局所的で、全国的に極めてその数を減らしている。環境省カテゴリでは、絶滅危惧Ⅰ類にランクされ、神奈川県、埼玉県、四国では絶滅、その他、本州と九州のほとんどの都府県で絶滅危惧Ⅰ類にランクされている。

 8月5日、キリシマミドリシジミを撮影後、富士山を半周して中央道で帰る予定だったので、その途中、休憩も兼ねて湿原に寄った。ハラビロトンボとウチワヤンマを確認したのみで、他には何もいない。ダラダラと歩いていると、翅がボロボロのシジミチョウが草の上を懸命に飛んでいた。これまで見たことがない模様のシジミチョウに思えて撮影したが、モニターで確認するとムラサキシジミ???現像もせずにそのまま放置。しかし後日、たまたま目にしたクロシジミの写真で思い出し確認すると、クロシジミであることが判明した。撮影した富士宮市においては、平成23年3月1日施行の富士宮市自然環境の保全及び育成条例の「特定希少野生動植物」に指定され、採集が禁止されている。

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クロシジミ
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 200(撮影地:静岡県富士宮市 2012.08.05)

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クロシジミ
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:静岡県富士宮市 2012.08.05)

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負のスパイラル

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 昨日の土曜日は、富士登山の予定であったが、天候不良のため断念。本日は、あるチョウを求めて2週連続山梨県へ。標高1,600mの林道4kmを歩く。午前9時頃からチョウが飛び始めたが、見られたのは、クジャクチョウ、シータテハ、アサギマダラの3種。アサギマダラにおいては、見の前を十数頭がヒラヒラと乱舞する光景に出会った。まるで夢のような時間であったが、目指すチョウは今回も姿なし。美味しい空気に包まれながら緑のシャワーを浴びて退散。今一つ気分がさえない休日になってしまい、負のスパイラルに陥りそうである。
 昨年の今頃、ネアカヨシヤンマを求めて何日も歩き回って撮れなかった事を思い出す。生態や習性を学び、他人から聞くのではなく自らの足で生息場所を探し、入念なロケハン・・・求める被写体がレベルアップすればするほど、出会う確率が低くなり、時間もかかる。しかし出会った時は、ときめきながらの真剣勝負が待っている。これが、昆虫写真撮影の醍醐味だ。負のスパイラルから脱却すべく、また、探すとしよう!

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クジャクチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F10 1/320秒 ISO 1000 -1/3EV(撮影地:山梨県甲州市 2012.08.19)

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クジャクチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8 1/320秒 ISO 640 -1/3EV(撮影地:山梨県甲州市 2012.08.19)

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シータテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 -1/3EV(撮影地:山梨県甲州市 2012.08.19)

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キベリタテハ

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 キベリタテハ(Nymphalis antiopa )は、タテハチョウ科のチョウで、和名にあるように翅表外縁に黄色の太い縁取りがある。翅全体は小豆色でベルベットのような光沢があり、黄色の縁取りの内側には、青色の斑紋が一列に並ぶ。そのシックな色合いから「高原の貴婦人」とも呼ばれている。
 北海道から本州中部(標高約1,000m以上の山岳)以北に生息しており、年1回8~9月頃に発生、成虫で越冬し、翌年4月頃まで見られる。食樹は、カバノキ科のダケカンバやシラカンバ、ヤナギ科のオオバヤナギ等である。成虫は、訪花することはほとんどなく、樹液や腐った果実などに訪れる。

 午前3時に自宅を出発。上信越道東部湯の丸ICで降り、湯の丸高原地蔵峠を超えて、標高1,400mの鹿沢高原(群馬県吾妻郡嬬恋村)に6時到着。気温は11℃。2時間睡眠のふらつく頭に、高原の香りと新鮮な空気が心地よい。目的は、今月の目標であるキベリタテハの撮影である。
 キベリタテハは、特に珍しい種ではないが、先週、先々週と山梨県内では見つけられなかった。鹿沢高原まで行けばいるだろうと勘を頼りに出かけた。日が高くなってくると、あちこちでキベリタテハが飛び始めた。何頭も見かける。貴婦人の名にふさわしく優雅に舞っている。駐車場や行く先の車道にも止まっているが、近づくと、すぐに逃げてしまう。
 どこか良いポイントはないかと白樺林の美しい桟敷山(さじきやま 標高1,915m)の林道を歩くと、崖に岩肌が露出している場所があり、アサギマダラが10頭ほど集団吸水していた。(後日掲載)ここならばキベリタテハもやって来るに違いないと思っていると、案の定、1頭のキベリタテハが飛んできた。時折り羽ばたいては滑空するという飛翔スタイル。私に近づいてきて、私の周りをぐるぐると回る。翅音がすごい。服に止まった。これでは撮れない。しばらくすると、森の中へ飛んで行ってしまった。
 今日は、撮るまで帰らない。覚悟を決めて待つこと3時間。最大のチャンスがやってきた。目の前の岩に止まってミネラル分を吸収しているようである。ゆっくりと近づき撮影。その美しさを堪能することができた。

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

 キベリタテハを撮影したあと、佐久市の里山に向かい初見のゼフィルスを撮影。(次回掲載)トンボも撮影し15時に撤収。
 負のスパイラルから脱却し、今月の目標をクリア。そして目標以上の成果を収めた満足感と余裕から、帰路は冒険をしてみた。通常ならば、朝とは逆の上信越道から関越、圏央道、中央道を選ぶ。あるいは、清里経由で須玉から中央道でも走行距離は同じ180km。しかし、どちらも渋滞で4時間くらいは覚悟しなければならない。それならばと選んだ道は、しばしば「酷道」などと揶揄される十石峠を越えて、日航機墜落事故のあった上野村を通り、秩父、飯能を経由して国立へ帰る、佐久から自宅まで地図上で直線になる一般道だ。感想は一言。「疲れた。」

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ムモンアカシジミ

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 ムモンアカシジミ(Shirozua jonasi)は、シジミチョウ科、ミドリシジミ族、ムモンアカシジミ属に属するゼフィルスである。発生は年1回で、他のゼフィルスと違い7~8月と若干遅い。また、大きな特徴として、幼虫がアリと深い関係を持っている。食樹は、クヌギ・コナラ・ミズナラなどのブナ科で、孵化したばかりの若齢幼虫はこれらの新芽を食べるが、成長すると木の幹や枝でクサアリ類に守られながら、木の葉や、クサアリが守っているアブラムシを食べる半肉食性と言われている。
 北海道と本州(中部以北の山岳地帯)の人里近くの雑木林に生息するが、発生場所はかなり局地的で、1~数本の樹に依存しているような場合も多く、また複雑な条件での生息環境が必要なため保全も難しく、各地で絶滅が危惧されている。環境省カテゴリにはないが、撮影した長野県では準絶滅危惧種に、その他、多くの地域で絶滅危惧Ⅰ類にランクされている。

 嬬恋村でキベリタテハを撮影したあと、南下して長野県佐久市の里山へ向かった。ムモンアカシジミ生息の確証はないが、いればラッキーという軽い気持ちで道を進んだ。車を止め探索を開始したが、近くに溜池があり、トンボの撮影に没頭。その後、念のために周辺を見る。すると、オレンジ色のチョウが見えた。ムモンアカシジミである。全部で6頭ほど確認できた。

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ムモンアカシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800(撮影地:長野県佐久市 2012.08.25)

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ムモンアカシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1250(撮影地:長野県佐久市 2012.08.25)

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ムモンアカシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250(撮影地:長野県佐久市 2012.08.25)

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アサギマダラ集団吸水

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 山梨県の大菩薩峰の麓の林道でアサギマダラが十数頭乱舞している様子は、8月19日に目撃していたが、今回は、群馬県吾妻郡嬬恋村の桟敷山でも遭遇した、ただし今回は、ヒラヒラと舞うだけではなく、集団吸水も観察できた。吸水と言っても、水を吸っているわけではなく、岩からミネラル分を吸っている様子である。写真に写っているのは3頭だが、この周囲を何頭ものアサギマダラが飛んでおり、入れ替わりで岩に止まってはミネラル分を補給していた。
 この崖の岩場には、アサギマダラ以外に、キベリタテハ、シータテハ、エルタテハ(初掲載)が訪れていた。

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アサギマダラ集団吸水
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/200秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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アサギマダラ集団吸水
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 1/200秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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アサギマダラ集団吸水
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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シータテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/200秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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エルタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F4.8 1/320秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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湯ノ丸の森

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 湯の丸高原は浅間連峰の西側に位置し、亜高山帯特有の「花高原」として親しまれている。訪れた時も数々の花が咲き乱れており、すばらしい景観であったが、花々の写真は他のブログをご覧いただくとして、ここでは、白樺の天然林とカラマツの二次林を紹介したい。
 白樺林は、八千穂高原が「東洋一」と言われているが、湯の丸高原は、花とのコラボレーションや密集ではなく点在さゆえの美しさがある。また奥行きのあるカラマツ林は、冬の霧氷の美しさを想像させる。昆虫写真ばかり撮っている時期であるから、自然風景までも説明的な図鑑写真になってしまったが、湯の丸は、高原や花だけではなく、「森」も重要な構成要素である。

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白樺林
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.0 1/200秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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白樺林
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F4.5 1/200秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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カラマツ林
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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カラマツ林
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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オオヤマトンボ

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 オオヤマトンボ(Epophthalmia elegans)は、濃い緑色の金属光沢のある胸に黄色いスジ、そして緑の美しい複眼が特徴であるエゾトンボ科のトンボである。 コヤマトンボに似ているが、体長は約80mm~90mmで一回り大きい。生息環境もコヤマトンボは流れの中流域、オオヤマトンボは溜池等の止水域なので、区別は容易である。
 佐久市の溜池では数頭のオオヤマトンボが池を周回しながらパトロールしていたが、時折り、数回水面に体当たりしては、山林の中へ飛んでいくという行動が見られた。どうやら、「水浴び」をしているようである。かなりの水しぶきをあげる豪快なものである。山林の中へ飛んでいったオオヤマトンボを追いかけると、枝に止まっているのを見つけた。飛翔の様子はオオヤマトンボ(飛翔)で撮影しているが、静止の様子をアップで撮ったのは初めてである。この個体は、かなり成熟しており、胸部の緑色の金属光沢は赤銅色になっている。
 オオヤマトンボが周回する溜池では、タカネトンボ(Somatochlora uchidai)も飛んでいた。エゾトンボ科のグリーンの複眼は、ヤンマ科とは別の美しさがある。

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オオヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:長野県佐久市 2012.08.25)

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オオヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F10 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:長野県佐久市 2012.08.25)

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オオヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F10 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:長野県佐久市 2012.08.25)

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タカネトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F10 1/250秒 ISO 320 ストロボ使用(撮影地:長野県佐久市 2012.08.25)

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タカネトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F10 1/250秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:長野県佐久市 2012.08.25)

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雨の九月

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 猛暑、酷暑の8月、まともに雨が降ったのは二日間だけでカラカラ状態であったが、月が変わり9月。雨でのスタートである。1日、2日ともに、多摩地域では激しい雷雨。涼しくてよいが、降りすぎである。
 さて、1日はホタル関係の会合で「ホテルニューオータニ」へ。午前中は、普段立ち入ることのない地下のプラント見学。発電システム、水再生システム、生ゴミリサイクル等、「ホテルニューオータニ」が取り組むエコロジー・スタイルは、すばらしいものであった。
 午後は、食事をしながらの会合。ワインを3本も開けてしまい、帰り道もあまり記憶にないくらいの泥酔。17時頃に帰宅したようだが、目が覚めたのは、翌朝8時。これほど長時間熟睡したのは、何年ぶりだろう。2日は、今週末に一泊二日で行く「ホタル講演会及び研究指導」のための準備に費やした。

 雨のスタートとなった9月。会合と講演会の準備もあり、フィールドでの撮影は、今週末の講演先になる予定だ。今までの講演先で一番遠い場所で、生まれて初めて訪れる未知の領域であり、たいへん楽しみである。
 そのような訳で、今週は今年6月~8月に撮影した未掲載の写真(掲載を見送った駄作)を掲載し、次週につなげようと思う。

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キマダラセセリ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F2.8 1/800秒 ISO 200(撮影地:山梨県北杜市 2012.07.28)

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コガタノミズアブ

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 コガタノミズアブ(Odontomyia garatas)は、水田や湿地に見られるミズアブの仲間。写真のコガタノミズアブはメスで、複眼がオスに比べて少し小さく離れている。幼虫は水生であり、近年の農薬により全国的に生息数・生息場所が激減している。環境省カテゴリにはないが、三重県と京都府では絶滅危惧Ⅰ類にランクされている。

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コガタノミズアブ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 400(撮影地:神奈川県相模原市 2012.05.26)

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コガタノミズアブ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 320(撮影地:神奈川県相模原市 2012.05.26)

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アゲハモドキ(オス)

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 アゲハモドキ(Epicopeia hainesii)は、アゲハモドキガ科に分類されるガの一種で、体の中に毒を持ち捕食者に襲われにくいジャコウアゲハに擬態していると言われている。下写真のジャコウアゲハとアゲハモドキを比較すれば、確かにジャコウアゲハのオスに似ている。しかしながら、南方系のチョウであるジャコウアゲハ類が生息しない北海道や東北地方にもアゲハモドキは生息している事から、この擬態については疑問の考えもある。私は、擬態ではなく、偶然に似た形態であると考える方が自然だと思う。和名の根拠は、アゲハに似ているからとのことであろうが、アゲハモドキガ科3属3種の分類も学者によって異なっており、分類学上の明確な根拠も見えない。

アゲハモドキガ科(Epicopeiidae)

  • アゲハモドキ(Epicopeia hainesii)
  • キンモンガ(Psychostrophia melanargia)
  • フジキオビ(Schistomitra funeralis)
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アゲハモドキ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 3200(撮影地:山梨県北杜市 2012.06.23)

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アゲハモドキ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 3200(撮影地:山梨県北杜市 2012.06.23)

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アゲハモドキ(メス)
Canon 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/80秒 ISO 3200(撮影地:埼玉県入間市 2011.6.25)

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ジャコウアゲハ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/640秒 ISO 200(撮影地:岐阜県揖斐郡大野町 2012.4.28)

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ジャコウアゲハ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/800秒 ISO 200(撮影地:岐阜県揖斐郡大野町 2012.4.28)

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宮古島へホタルの講義

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 沖縄県立宮古高等学校 川端俊一 先生、この度は、大変お世話になり、心より厚く御礼申し上げます。

 9月8日、9日と沖縄県立宮古高等学校の招きで宮古島まで行ってきた。同校の生物部は、この4月から宮古島の固有種であるミヤコマドボタルの研究を開始されたが、ホタルに関する知識を深めたいという要望にお応えするため、講義と昼夜の観察会を行った。先生方をはじめ、生徒諸君の熱心さに心打たれた。今後の研究に期待したい。
 沖縄県を訪れるのは生まれて初めてであり、今回、私も大変勉強になった。固有種ミヤコマドボタルに関しては勿論であるが、亜熱帯に生息する多くの昆虫たちとの出会い、そして何より、宮古島の美しい海との出会いは、一生の思い出である。夜に至っては、森は無数のホタルで輝き、海はウミホタルで煌めく、空は瞬く星で埋め尽くされ、感動で言葉もない。
 今週は、「シリーズ 宮古島の自然と昆虫」と題し、連載していきたいと思う。

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宮古島へホタルの講義 「んみゃーち」は沖縄の宮古島の言葉で「ようこそ」のこと

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美ら島

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シリーズ「宮古島の自然と昆虫」その1

 9月8日、羽田06:55発、JTA 021便。行く先は2,040km彼方の宮古島である。目的は、前記事のように「ホタルの講義と観察会」であるが、初めて行く沖縄県。わがままを聞いていただき、宮古島の自然と昆虫を訪ねる予定を組み込んだ。飛行機は21年ぶりに乗る。多少の緊張感はあったが、4時間の睡眠であったため、羽田を離陸後すぐに熟睡。目覚めると沖縄本島上空。高度38,000フィート(約11,000メートル)からの眺めにくぎ付けである。定刻より少々遅れて10:00到着。未知のドアが開かれた。

 「宮古島の自然と昆虫」と題してシリーズで掲載していくが、まずは、海を紹介しなければ始まらない。とにかく宮古島は海が美しい。宮古島には川がないため、沖縄本島や八重山を凌ぐという。宮古島と橋でつながる来間島、池間島、どこに行っても美しい。この景観に説明はいらないだろう・・・つづく。

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来間島
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F9.0 1/100秒 ISO 200(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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池間島
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F9.0 1/200秒 ISO 200(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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宮古島 砂山ビーチ
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F10 1/160秒 ISO 200(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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宮古島 砂山ビーチ
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F10 1/200秒 ISO 200(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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宮古島 イムギャーマリンガーデンより
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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宮古島 イムギャーマリンガーデンより
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F8.0 1/100秒 ISO 200(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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ティンガーラ

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シリーズ「宮古島の自然と昆虫」その2

 ティンガーラとは、沖縄地方の方言で「天の川」のこと。写真は、宮古島と来間島に架かる来間大橋からの眺めである。あいにく、最小限の機材しか持っていかなかったため、 Canon EOS 7D に シグマの50mmマクロレンズという組み合わせでの撮影。それでも、天の川の一部ではあるが捉えることができた。撮り終えた写真を確認して驚いたのが、星の数の多さだ。過去に幾つかの場所で星空を撮影しているが、隙間がないほど写ったのは、初めてである。(勿論、肉眼ではこれほど見ることはできない。)

 もう一つ驚いたことがある。空には満天の星が瞬いているが、森ではミヤコマドボタルとキイロスジボタルの光が輝き、海中ではウミホタルの青い光が煌めいていた。陸、海、空、全てが美しい自然の光で埋め尽くされているのである。残念ながら、ウミホタルは今回のカメラとレンズでは写すことができなかったが、これら光の饗宴は、一生忘れない思い出である。

 宮古島は、風景が素晴らしいのは言うまでもないが、料理も美味しい。天の川を見た夜は、高校の先生方と海ぶどうやソーキソバ、ゴーヤチャンプルなどの琉球料理に舌つづみを打ちながら、深夜0時までホタル談義に花が咲き、泡盛「琉球王朝」のボトルを空けてしまった・・・つづく。

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天の川(来間大橋より)
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 6400(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.08)

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池間湿原

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シリーズ「宮古島の自然と昆虫」その3

 二日酔いもなく、6時に起床。8時にホテルを出発し、宮古高校の先生とポイントを廻る。前日の夜に無数のミヤコマドボタル(幼虫)を見た場所に向かい、生息環境を調べる。次にむかったのは、池間島の中心部にある38haの広さを有する沖縄県で最大の湿原、池間湿原。池間大橋を渡り、サトウキビ畑の農道を進む。更に細い砂利道を奥まで行くと池間湿原が見渡せる場所に着く。地元ではユニムイと呼ばれるこの湿原は、環境省選定の日本の重要湿地500に選定されるとともに、 2011年11月1日には「池間鳥獣保護区」として島全体が国の鳥獣保護区に指定されている。昆虫類も豊富で、トンボ類では、オキナワチョウトンボ、リュウキュウベニイトトンボ、ムスジイトトンボ、タイワンウチワヤンマ、アオビタイトンボ、アメイロトンボ等が確認されているが、近年、水草の繁茂や周辺の陸地からの土砂の流入により陸地化が急速に進み、湿原の面積は次第に小さくなっており、湿原の保全が大きな問題となっていると聞く。
 池間湿原は、遊歩道がないので立ち入ることはできない。トンボ類の撮影は難しいが、偶然に飛んできたオキナワチョウトンボを撮影することができた。この後の記事は、トンボとチョウの連載、その他の昆虫、そしてミヤコマドボタルという順で紹介していく・・・つづく。

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池間湿原
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F10 1/500秒 ISO 200(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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オキナワチョウトンボ

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シリーズ「宮古島の自然と昆虫」その4 ~トンボ編 vol.1~
このトンボ編では、初見初撮影のトンボ8種類を紹介する。

 オキナワチョウトンボ(Rhyothemis variegata imperatrix)は、トンボ科チョウトンボ属のトンボで、奄美大島以南の南西諸島の島々に分布する普通種である。翅が鼈甲模様に似ていることから、以前はベッコウチョウトンボとも呼ばれていた。写真はメスで、前翅の先端が無色透明なのが特徴である。

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オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F9.0 1/500秒 ISO 320(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F9.0 1/500秒 ISO 400(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F10 1/500秒 ISO 640(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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